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皆さん、こんにちは。
第14回のStory of Buildersはハッサン・モスタファ(Hassan Mostafa)選手です。
他の選手が小さく見えてしまう程の圧倒的な筋肉量で観衆を魅了するハッサン。
出場する大会のほとんどでファーストコールで呼ばれるものの、毎回コンディションがもう一歩で、優勝を逃し続けていました。
しかし、2022年はプエルトリコプロ、オーランドプロの2大会で見事に優勝し、オリンピアへの切符を手にしました。
実は2021年もオリンピアに出場していましたが、昨年は大会に上位に入り続けたことでポイントが積み重なって出場権を得ていました。
2021年に出場した大会数はオリンピアを含め何と驚異の7回。
何が彼をそこまで駆り立てるのか。
その背景には彼の熱い思いが大きく影響していました。
目次
基本プロフィール
身長:約170cm(5.6ft)
体重:約107kg(大会時)
国籍:エジプト
生年月日:1992年(詳細は不明)
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生まれ~クウェートに移住するまで
ハッサン坊やは1992年、エジプトはミヌーフィーヤ県で誕生しました。
ハッサン誕生ののち、カフル・エル-シェイク県に家族で移住し、幼少期のほとんどをそこで過ごしました。
ハッサンは小さい頃から大人しく、やんちゃなことをするような真似はほとんどありませんでした。
また、多くのボディビルダーは子供の頃に何かしらのスポーツを経験していますが、彼はサッカーに多少興味がある位で、何もスポーツはしていませんでした。
幼い頃から脂肪が付きやすい体質で、サッカーに興味はあるものの、体型を気にしてなかなか踏み出すことができませんでした。
しかし、彼はサッカー以外にも強く興味をそそられる競技がたった一つだけありました。
それがボディビルだったのです。
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実は彼の父親はウェイトトレーニングが趣味で、ハッサンはその様子を小さい頃からよく見ていました。
そして16歳になる頃、父親の影響を受け、自身もトレーニングを開始しました。
さらに翌年のことです。
ハッサンは親友の父親が地元のボディビルの大会に出るということで、その応援に行きました。
その時こそが彼の人生のターニングポイントでした。
会場の熱気。
選手たちの美しい肉体。
そして、優勝した親友の父親の誇らしげな表情。
ハッサンにとってその光景はセンセーショナルで、彼はその日ボディビルに心を奪われました。
その日を境に、彼は本気でトレーニングを開始しますが、実はトレーニングを始める前から彼の肉体はポテンシャルの塊でした。
身長は170cm程度で、体重はすでに87kgもあったのです。
前述の通り、脂肪がついていたのは確かですが、全く何も運動をしていなかった時から彼の脚は異常に発達していました。
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選手として活躍する現在も彼の脚の太さはひと際目を引きます。
彼はボディビルの神様から導かれるようにそのキャリアを歩み始めました。
しかし、彼の住んでいた地域はエジプトの中でも田舎の方で、一番近いジムでもハッサンの家から約25km離れていました。
交通手段も充実しておらず、移動にかなりの時間がかかってしまう状況でしたが、彼はそんな中でもボディビルダーになるという夢を実現させるためにジムに必死に通っていました。
懸命に頑張るハッサンを誰よりも応援してくれていたのが父親でした。
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(ハッサンと父親)
彼の父親はどんな困難な状況でもハッサンの一番の味方で、常に彼のことを応援してくれていました。
そして、トレーニングを本格的に初めて1年。
応援してくれる父親に恩返しをするために、彼はボディビルの大会に出場し、優勝することを目指し始めました。
最初に出場することにしたのは地元のカフル・エル-シェイクチャンピオンシップスでした。
当時は全くボディビルに関する知識がなく、独学で大会まで準備を進めました。
そして迎えた大会当日。
ハッサンは無事に会場に到着し、エントリーまで順調に済ませました。
その後、同じカテゴリーの選手たちと並んでいる時にある違和感を覚えました。
「あれ・・・?これって年齢別にカテゴリーされているんだよね・・・?」
ハッサンは年齢別にカテゴリーされていると思っていましたが、実はその大会は体重別のカテゴリー分けでした。
要するに、同年代の大会初心者ではなく、ベテラン選手を含む年上の選手がほとんどだったのです。
その事実に気づいてしまい、彼は大きなショックを受けました。
緊張が収まらず、ついには彼はステージに上がる事をためらい始めました。
「あんな人たちに勝てるわけないだろ・・・」
「どうしよう、怖くてステージに立てない・・・」
彼は敗北を確信しながら、ステージに立ちました。
そして、結果発表の時が来ました。
ハッサンの予想に反し、彼はベテラン選手がいる中で見事準優勝することができたのです。
ハッサン自身がその結果に一番驚きましたが、彼はその大会から自信という大きな財産を手に入れました。
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ハッサンはその大会の後、父親から最高のプレゼントを貰いました。
父親からのプレゼントはなんとジムでした。
もちろん、ジムと言っても大きなものではなく、プライベートジムのようなコンパクトなジムです。
しかし、彼にとって25kmの移動をすることなく好きな時に好きなだけトレーニングできるという環境はまさに天国のようでした。
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ジムはそのまま“Hassan’s GYM”と名付けられ、彼はその後そこで約4年間トレーニングを続けることになりました。
夢のような環境を手に入れたことで、ハッサンのトレーニングへの熱量は高まり、見る見るうちに彼の体は進化していきました。
その進化した体を引っ提げ、彼は大会に出ては好成績を収め続けました。
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(当時20歳のハッサン)
しかし、地元にはボディビルの知識を持っている人物が全くいなかったため、彼は大会1か月前になると、当時のコーチの家に住み込み、全ての指導をお願いしていました。
それほど彼はボディビルというものに本気で取り組んでいました。
全ては勝利の瞬間のためです。
気づけばハッサンはエジプトでもトップクラスの選手になっており、自分の実力を試すべく、世界に挑戦することを決意しました。
初めての国際大会は2013年にモンゴルで開催されたIFBB Junior World Championshipsでした。
初出場ながら、彼は5位という素晴らしい結果で大会を終えることができました。
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世界で5位になるということは、そう簡単な事ではありません。
しかし、ハッサンは当然その結果には満足していませんでした。
本当に欲しいものは他を寄せ付けない圧倒的な勝利です。
彼は1年後に同じ大会に出場して勝利をつかみ取るために、さらにトレーニングに力を入れました。
そして、1年後にメキシコで開催されたIFBB Junior World Championshipsに彼は再出場しました。
こちらがその大会の映像です。
89番がハッサンですが、6人の選手の中で最も低身長ながら、他の選手たちと圧倒的な筋肉量の差があるのが見て取れます。
結果的に彼はこの大会で優勝を収め、前年の雪辱を果たすことができました。
見てわかる通り、彼は常にバルクで負けることはなく、この時からコンディションのみが唯一の課題になっていました。
大会が終わったのち、ある人物から連絡が届きました。
それはクウェートのゴールドジムのオーナーからで、「専属のトレーナーとして働いてほしい」という内容のものでした。
大会の映像を見たオーナーがハッサンの体に将来性を感じ、オファーを申し出てくれたのです。
大会に掛かる費用などを含め、選手として活動するのに必要な最低限の資金は彼らがスポンサーとして負担してくれるとの事でした。
もちろんハッサンはそのオファーを承諾し、間もなくしてクウェートに移り住むことになりました。
クウェートと言えば中東のボディビルのメッカとして知られています。
有名なオキシジェンジムを中心に、IFBBプロとして活躍する中東系の選手の多くはクウェートで修行を積んでいます。
この上ない環境を手に入れ、ハッサンの人生は新たな章をスタートさせました。
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クウェートでの生活
ハッサンは心機一転、クウェートで新生活を始めたわけですが、彼にとってその環境は衝撃的でした。
今までは自分よりも大きな体をしている選手をほとんど見ることはありませんでしたが、ジムには自分より大きい選手たちがゴロゴロいました。
会話をしていく中で、その選手たちの多くはIFBBプロであることを知り、自身もIFBBプロになることを目指し始めます。
ジムにはアハメド・エル・ワルダニなどのエジプト出身の選手もおり、トレーニングを通じて親交を深めていきました。
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また、彼はクウェートの生活の中である大きな出会いがありました。
それが最愛の妻リハムさんとの出会いです。
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リハムさんはパレスチナとカナダのハーフで、アラビア語と英語のバイリンガルです。
彼女はハッサンがまだアマチュアの時から献身的に支え、彼にとって必要不可欠な存在です。
現在、アメリカの大会に多く出られているのも、彼女が通訳として活躍してくれている部分が大きいです。
また、ビジネス面も彼女が担ってくれており、ハッサンがボディビルに専念できるような環境を作ってくれています。
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2020年には長女タリアちゃんが誕生し、今ではリハムさんと一緒にハッサンの大会に応援しに来てくれています。
普段は寡黙なハッサンもタリアちゃんの前ではデレデレで、普段見せない表情を見せてくれているので、ぜひ彼のインスタグラムを覗いてみてください笑
話が少し脱線してしまいましたが、クウェートの話に戻ります。
クウェートでは今までに無いほどの充実した設備に囲まれ、日々成長を感じながらトレーニングに励んでいました。
もちろん、移り住んでからも大会に出場していましたが、なかなかプロカードを獲得できませんでした。
しかし、2018年4月遂にその時が来ました。
クウェートで開催されたオリンピアアマチュアで過去最高の体で大会に臨み、見事に念願のIFBBプロカードを手にすることができたのです。
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5年間の長い苦悩が報われ、ようやくスタート地点に立つことができたハッサンでしたが、ここから先の道のりも決して楽なものではありませんでした。
IFBBプロとしての活躍
念願のプロになったハッサンでしたが、彼はバルクアップのために約1年間大会に出場していませんでした。
また、活動資金も十分にない状況で、貯金を切り崩して大会に出場する生活を余儀なくされていました。
そんな困窮した状況の中、彼はついに大会に出場することを決めました。
選んだ大会は2019年3月末にアメリカで開催されたインディプロでした。
エントリーした選手は、スティーブ・クークロや、ジャスティン・ロドリゲス、ルーク・サンドウなど有名選手ばかりでした。
名だたる選手と肩を並べる中、ハッサンはこの大会で自分が素晴らしい逸材であることを証明しました。
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彼はスティーブ・クークロ、アキム・ウィリアムズに次ぎ、3位という結果を手に入れたのです。
デビュー戦を迎える多くの選手たちはどれだけコンディションが良くても、筋肉量で劣ってしまうことが多いのですが、彼はその逆でした。
筋肉量ではトップ選手に負けないほどのものを既に持っていながらも、絞りが少し甘く、優勝を逃してしまいました。
彼はプロになって以降、より一層コンディションという課題に悩まされ続けることになります。
以下がインディプロから2021年までの大会成績です。
2020 ニューヨークプロ 4位
2021 ニューヨークプロ 3位
2021 カリフォルニアプロ 3位
2021 プエルトリコプロ 3位
2021 シカゴプロ 6位
2021 テキサスプロ 5位
2021 アーノルドクラシックUSA 9位
2021 ミスターオリンピア 13位
ご覧の通り、トップ5に入る事は多いのものの、そこから先に進むことができていませんでした。
勝てない原因は完全にコンディションでした。
彼はプロになる以前も以後も、
「もっと筋肉量を増やさなければ・・・」
という悩みを一度も持ったことがない代わりに、完全に絞り切るという経験をほとんどしたことがありませんでした。
アマチュア時代は筋肉量で他の選手を抑え込めていたのが、プロになった途端、筋肉量の基準が上がり、彼のコンディションの甘さがより浮き彫りになってしまいました。
しかし、皆さんに知ってほしいのが、それを一番自覚しているのがハッサン自身だということです。
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彼はコンディションが課題だということは常に肌で感じています。
SNSで
「オフシーズンの体みたいじゃないか」
などと心ない言葉を浴びせられるたびに悔しい思いをしていました。
絞りきるために有酸素運動を人一倍熱心に取り組んだり、コーチのアドバイス通りに動いているのになかなか結果が付いてこず、歯がゆい思いをしてきました。
だからこそ、
「次は絞り切って優勝するんだ!」
「この大会でオリンピアを決める!」
と、何度も何度も折れずに挑戦し続けたのです。
その結果、彼は2021年は一度も優勝できずに終わりましたが、ポイントの累計でオリンピアへの出場権をもぎ取ったのです。
オリンピアの結果は13位でしたが、夢の舞台に立ち、彼は晴れ晴れしい気持ちで満たされました。
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そして2022年。
彼はコーチを変え、新しい減量方法にチャレンジしました。
それが見事にハマったのです。
減量過程で多少筋肉量を犠牲にすることになりましたが、それでも筋肉量ではトップクラスです。
彼は今まで苦しんでいたコンディションという問題を解決し、プエルトリコプロ、オーランドプロの2大会も優勝し、オリンピアの出場権を手にしました。
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今年は彼にとって2回目のオリンピアになります。
彼の大きな問題はやはり腹部回りです。
腹部回りが膨らみつつあるため、現代のトレンドにそぐわないと判断され、順位を落とされかねないです。
しかし、腹部のコントロールを保ったまま、ベストのコンディションを持っていければトップ10は入れる可能性が大いにあると思います。
ハッサンのオリンピアのステージを心待ちにしましょう。
終わりに
以上がハッサン・モスタファの人生についての簡単な紹介になります。
エジプトの片田舎で育ち、懸命に目の前のできることに取り組んだ結果、彼はいつしか一流のボディビルダーになっていました。
大会に向けて毎回全力を尽くしているのに、何度もネガティブなことを言われてしまい、心が折れそうになることもありました。
しかし、心から応援してくれる家族、そして努力を続けてきた自分のために勝利を目指し、ついにつかみ取った優勝。
“Victory tastes so much sweeter after a lot of struggles.”
「幾多の苦難を乗り越えた先の勝利の味は格別だ。」
今、目の前にある苦難は、いつか来る最高の一日のための調味料になるかもしれません。
しかし、最高の一日を作るのは自分自身です。
その日のために毎日全力でできることに取り組みましょう。
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引用元:
https://www.musculardevelopment.com/contests/ifbb-indy-pro/18901-hassan-mostafa-the-newest-beast-from-the-middle-east-2021-new-york-pro.html#.YzG36HZBxhEhttps://bodybuilding-arabia.com/Story/2587/%D8%AD%D8%B3%D9%86-%D9%85%D8%B5%D8%B7%D9%81%D9%89-%D9%87%D8%AF%D9%81%D9%8A-%D8%A7%D9%84%D9%81%D9%88%D8%B2-%D8%A8%D9%85%D8%B3%D8%AA%D8%B1-%D8%A3%D9%88%D9%84%D9%85%D8%A8%D9%8A%D8%A7-%D9%88-KO-SQUAD-%D8%A7%D9%84%D8%B3%D9%86%D8%AF-%D8%A7%D9%84%D8%A3%D9%88%D9%84-%D9%84%D9%84%D8%A7%D8%B9%D8%A8%D9%8A-%D9%83%D9%85%D8%A7%D9%84-%D8%A7%D9%84%D8%A3%D8%AC%D8%B3%D8%A7%D9%85Hassan Mostafa Bodybuilder, Age, Weight, Height, Wife, OlympiaHassan Mostafa ifbb pro bodybuilder competes in open division of bodybuilder, learn about his weight, height, age, and wife.ハッサンのインスタグラム↓