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皆さん、こんにちは。
第13回のStory of Buildersはチャールズ・グリフィン(Charles Griffen)選手です。
素晴らしい背中の遺伝子、そしてオープンカテゴリーでは数少ないバキュームポーズができる選手として有名です。
そんな彼が選手活動を始めたのは何と32歳の時でした。
それまでは普通に会社員として生活していました。
では、なぜボディビルを始めることになったのか?
その背景には最愛の母の死と、荒んだ過去が影響していました。
そんな荒んだ日々から彼を救ってくれたのが、ボディビルでした。
目次
基本プロフィール
身長:約175cm(5.9ft)
体重:約110kg(大会時)
国籍:アメリカ合衆国
生年月日:1982年11月28日
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生まれ~高校卒業まで
チャールズ坊やは1982年11月28日、アメリカはアリゾナ州エイボンデールで生まれました。
幼い頃から活発だったチャールズ少年は、アメフトやバスケットボール、野球などアメリカでメジャーなスポーツを楽しんでいました。
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家族は両親、チャールズ、弟の4人暮らしでした。
母親は常にチャールズのことを気に掛けてくれて、彼は母親の深い愛情を受けて育ちました。
彼にとって母親は何でも話せる親友であり、人生のアドバイスをくれるコーチでもあり、時に自分のことを叱ってくれる掛け替えのない大切な存在でした。
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一方で父親は働いてはいるものの、ドラッグ中毒者で、まともにチャールズの相手をしてくれることはありませんでした。
自分自身ではその欲求をコントロールできないと判断し、父親は最終的にドラッグ中毒者のためのリハビリテーションに通うことになりました。
更生するために日々リハビリに通い続けた結果、父親はその内リハビリに通うことはなくなりましたが、それは薬から抜け出せたからではありませんでした。
父親はリハビリに通うことをやめ、ドラッグの売人を始めることになります。
遂には彼はエイボンデールでは知らない人がいない程の大きな売人になり、瞬く間に巨万の富を手に入れることになりました。
チャールズは父親のおかげで、常にポケットの中に大金を入れており、欲しいものは何でも手に入っていました。
この経験がのちにチャールズを苦しめることになります。
そういった父親の悪影響を受けつつも、彼はまともに学校には通っており、まじめにスポーツに取り組む模範的な学生生活を送っていました。
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彼は数あるスポーツの中でも、アメフトに熱中していましたが、高校時代に身長が伸び悩み、
「165cmではアメフトは厳しい」
とコーチに言われてしまい、それ以降は陸上競技とバスケットボールを中心にスポーツを楽しんでいました。
また、両親は父親が原因で関係がもつれてしまい、チャールズが高校1年生の時に離婚することになり、それ以降は母親が一人で育ててくれました。
高校卒業~ボディビルダーになるまで
チャールズは卒業後、フルタイムで働いていました。
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しかし、子供の頃に経験した大金を使う感覚を忘れることができず、彼は勤勉に働くことがバカバカしくなり、その内ファストマネー(違法な手段で手に入れるお金)に手を出すようになります。
幼い頃は父親のようになりたくないと思っていたのに、彼は結局父親と同じ道に進むことになりました。
一方で、弟は荒れていく兄チャールズの姿を反面教師にして、彼とは逆の真っ当な道を選んでくれました。
大人になってからのチャールズは頻繁にパーティーに通い、お酒で泥酔しては女の子と遊び呆ける堕落した生活を送っていました。
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この頃から女の子にモテるために筋トレを始めました。
トレーニングを開始したのは24歳の時でした。
しかし、トレーニングと言っても、胸と腕しか鍛えておらず、脚や背中などはほとんどトレーニングしていませんでした。
ただ、彼は元々遺伝的に筋肉が付きやすい体質で、ほとんどトレーニングをしていなかった脚は高校時代のスポーツの影響か、素晴らしいものを持っていました。
そんな堕落した生活を続けるチャールズに悲しい出来事が起きます。
28歳の時、大麻が母親に見つかってしまい、気まずくなったチャールズは生まれ育ったアリゾナ州から旅立ち、ミネソタ州に引っ越しました。
ミネソタでの生活も同じように夜な夜なパーティーに参加しては、羽目を外して人に迷惑をかける日々を送っていました。
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母親はそんな彼を心配して頻繁に連絡したり、定期的に顔を合わせに来てくれていました。
彼が28歳の時に悲劇は起きました。
2012年10月のことです。
母親がいつものようにミネソタまで会いに来てくれていました。
いつもだったら母親が来ていても構わずに、女の子と遊びに出かけていたのですが、その時彼は何かから
「今は落ち着いて、母親と一緒にいてあげてくれ。」
と言われたような感覚に襲われました。
スピリチュアルな事は基本的に信じない性格でしたが、彼は何となく母親と一緒に過ごすことにしました。
母親がミネソタに来てから5日目のことです。
母親はチャールズの家の階段を掃除していた際に、急に心臓発作に襲われ、その後亡くなってしまいました。
その時、チャールズは車で弟をウィスコンシン州まで送っていましたが、電話でその話を聞いた時は、急な出来事に気が動転してしまい、意識を失ってしまいました。
母親はタバコも吸わなければ、アルコールを飲むこともない至って健康的な生活を送っていたため、全く予想していないことでした。
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最後に母親と過ごす時間があったのがせめてもの救いでしたが、彼にとってはあまりにも受け入れがたい現実でした。
「もっと感謝の言葉を伝えたかった」
「立派な大人になっている姿を見せてあげたかった」
チャールズの心には、ぽっかりと大きな穴が空いてしまいました。
それからというもの、チャールズは母親の死を受け入れられず、ドラッグとアルコールに頼る生活が続きました。
ドラッグ、アルコールだけが心の痛みを和らげてくれる唯一の手段でした。
時には深夜2時にテキーラを数杯飲んだ後に、バイクで260kmのスピードを出して高速道路を走り、警察のヘリに見つかって、無謀運転を止められたこともありました。
心のどこかで母親と同じ場所に行きたいと願っていたのかもしれません。
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正常な状態に戻ると、母親がいないという現実が突き付けられ、ドラッグやアルコールでそれを忘れるという生活を1年以上続けていました。
母親が一生懸命働いて残してくれた15万ドルの遺産も、気づけば1万ドルになっていました。
そんな荒んだ生活を送っていたある日のことです。
彼はいつも以上にドラッグに頼る生活が3、4日続いていました。
そして、ベンチに座り、一人で考え込みました。
「俺は何をやっているんだ」
「母さんが俺の今の状況を見たらどう思うだろうか」
「天国の母さんに恥ずかしくない姿を見せたい」
家に着いて、鏡の中の自分を見ると、目の下には大きなクマができ、疲れ切った顔はまるで自分ではないかのような感覚でした。
その時こそが彼の人生のターニングポイントでした。
チャールズは持っていた全てのドラッグをトイレに投げ入れ、流しました。
「俺は今日から変わるんだ」
彼はこの日を境に、今までの荒んだ人生を捨て、新しい人生を歩むことに決めました。
母親への愛が彼の心を突き動かしてくれました。
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変わることを決めたチャールズは自分に何が必要なのか考えました。
何度も考え抜いて、行き着いた答えがボディビルだったのです。
ボディビルには規則正しい生活、健康的な食事が欠かせません。
夜な夜なパーティーに行ったり、酒を飲んだり、ドラッグを摂取することはできません。
それに加え、彼は母親譲りの素晴らしい遺伝子を持っていることを自覚していたため、今後の人生はボディビルに情熱を注ぐことに決めました。
ボディビルダーとしての活躍
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この写真は彼が真面目にトレーニングを始める前の2010年の時の写真です。
見てわかる通り、適当にトレーニングをしていたとは思えない程、素晴らしい筋肉が付いています。
彼が心を入れ替え、トレーニングに本気で取り組むようになったのが2014年の2月でした。
チャールズは人が変わったかのように、真剣にトレーニングに取り組み、パーティーやドラッグとは無縁の生活を送っていました。
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(初大会の2週間前のチャールズ)
そして、8月のノースアメリカン・チャンピオンシップス(NPC)に向け、減量を進めていました。
知り合いに減量方法を聞いたり、自分で調べたりして少しずつボディビルについて学び、実践していきました。
そして迎えた初大会。
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彼は持っているポテンシャルのすべてを出し切り、7位というまずまずの結果を出すことができました。
この時はポージングを全く練習しておらず、適当に見様見真似でやっていたため、それが減点された結果でした。
ジャッジからは
「うーん、リー・ヘイニーみたいだね~」
と言われたそうで、誰のことが最初はわかりませんでしたが、後々調べて偉大なボディビルダーだと知り、満足いくデビュー戦になりました。
そして、何よりも今までの暗い人生と決別し、新しいスタートを切れたことを誇りに思っていました。
彼はここからIFBBプロを目指し、さらにギアを上げ、真剣にトレーニングを取り組み始めました。
同年のナショナルズ(アメリカの全国大会)ではライトヘビー級で12位に入りました。
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翌年の2015年にはライトヘビー級から一つ階級を上げ、ヘビー級で出場するようになりました。
彼は持ち前の遺伝子の強さを武器に、すさまじいスピードで筋肉量を増やしていきました。
そして2015年のナショナルズで見事ヘビー級で優勝し、IFBBプロの仲間入りを果たしました。
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ボディビルの大会に初めて出場した2014年8月からプロになるまで僅か1年3か月の出来事でした。
“If I had not found this sport I honestly don’t know where I would be right now. That is actually very scary to even think about. This sport saved my life and I am just thankful for that.”
「もしボディビルに出会っていなければ、正直今どこにいるのか分からない。考えるだけでかなりゾッとするよ。ボディビルが俺の人生を救ってくれたし、ボディビルには感謝してるよ。」
ボディビルと出会い、人生が180度変わったチャールズは心の底からボディビルという競技に感謝しています。
しかし、変わった努力をしたのは他でもなく彼自身です。
自分で決めた事を一貫して努力している様は本当に見習いたいですね。
2015年11月にプロになり、初めての大会は約一年後の2016年10月に開催されたフェリグノ(フェリーニョ)・レガシープロでした。
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初出場ながら、名だたる有名選手たちに続き、チャールズは5位で大会を終えました。
以下がフェリグノ・レガシープロから2021年のタンパプロまでのキャリアです。
2017年 シカゴプロ 4位
2018年 インディプロ 2位
2018年 マッスルメイヘムプロ 1位
2018年 ミスターオリンピア 13位
2019年 タンパプロ 7位
2021年 タンパプロ 3位
2018年にはマッスルメイヘムプロで優勝し、同年のミスターオリンピアに初出場しました。
トップ10を見据えての出場でしたが、結果は惜しくも13位でした。
しかし、彼は初出場だったため楽しむことを大切にして、大会に臨んでいました。
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それから4年後の2022年。
彼はインディプロでブレッシング・アウォディブに惜しくも負けてしまいましたが、そこから這い上がり、2週間後のカリフォルニアプロで優勝しました。
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そして、現在彼は12月に開催されるミスターオリンピアへ向け着々と準備を整えています。
恐らく彼の背中は現役選手の中ではトップクラスのクオリティを誇っています。
広さ、分厚さ、立体感。
全てにおいて、パーフェクトな完成度です。
そんなチャールズの今年のオリンピアの目標はトップ7です。
カリフォルニアプロのパッケージを見る限りは、トップ10は射程圏内だと思います。
後は彼がどれだけ成長した体で大会に挑めるか、とても楽しみですね。
終わりに
以上がチャールズ・グリフィンの人生についての簡単な紹介になります。
最愛の母を亡くして、この世の終わりのような感覚に襲われ、暗い道に迷い込むこともありました。
しかし、弱い自分に打ち勝ち、変わると誓ったあの日。
母親の愛を胸に、本気でボディビルに取り組み、今となっては2度目のオリンピアに挑戦する一流のボディビルダーに成長しました。
天国の母親はきっと彼のことを誇りに思っているでしょう。
彼は言います。
“A life spent making mistakes is not only more honorable, but more useful than a life spent doing nothing.”
「失敗まみれの人生は何もしない人生よりも、名誉があり、学びがあるものだ。」
失敗した過去は変えることはできません。
しかし、失敗から何を学び、それを今にどう活かすのかが重要であると彼は考えています。
大切なのは今です。
挑戦をしなければ失敗をすることもありませんが、それと同時に学びを得ることもありません。
皆さんもたくさん挑戦して、たくさん失敗しましょう。
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引用元:
Charles Griffen - Greatest PhysiquesCharles Griffen is an IFBB professional bodybuilder and sponsored athlete from Arizona, U.S.A. He rose to fame rapidly, gaining fans through his sheerCharles Griffen - Rock Bottom to RedemptionHis story is proof that there can indeed be a deeper meaning and purpose to this sport than lifting weights, building your muscles, and posing. I spoke with Cha...CHARLES GRIFFEN, IFBB Pro Bodybuilder at BigBodies.comチャールズのインスタグラム↓
https://www.instagram.com/charlesgriffen_ifbbpro/