【Story of Builders】ネイサン・デ・アーシャ【第4回】

選手紹介

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皆さんこんにちは。

第4回のStory of Buildersはネイサン・デ・アーシャ選手(Nathan De Asha)です。

現在は父親として2人の子供を育て、幸せな家庭を築いている彼ですが、その過去は決して明るいものではありませんでした。

辛い幼少期、大学時代の挫折、病気との闘い。

それらを乗り越え、イギリス随一のボディビルダーとして活躍する彼の人生を見てみましょう。

 

目次

基本プロフィール

身長:約178cm(5.10ft)

体重:約115kg前後(大会時)

国籍:イギリス

生年月日:1988年6月8日

 

 

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生まれ~大会出場まで

ネイサン坊やは1988年6月8日イギリスはリバプールで生まれました。

家庭は決して裕福ではなく、母子家庭で、生活保護を受けてギリギリ暮らせるほど苦しい状況でした。

しかし、この経験が彼の将来への糧になります。

「いつか成功してやる」「いつか幸せな家庭を持つんだ」

彼の中には常に未来へのビジョンがありました。

 

家庭こそ恵まれせんでしたが、彼は身体能力に恵まれ、小さい頃からサッカーに没頭しました。

その才能が認められ、彼は約10年間イギリスのセミプロチームに所属することになります。

また、サッカーを辞めてからはボート競技に転向し、数年間選手として活動を始めました。

オリンピックで5つの金メダルを獲得したスティーブン・レッドグレイヴという偉大な選手と同じチームに所属していた時期もあるほど、ボートでも抜群の運動神経をいかんなく発揮していました。

約10年間のサッカーのキャリアを持つネイサンですが、フィジカルは強いほうではありませんでした。

そこで彼はジムに行って、少しでも筋肉量を増やし、フィジカルを強くしようと試みます。

 

その時こそが彼の人生のターニングポイントでした。

 

ジムに初めて行ったネイサンは、ムキムキの会員たちに圧倒され、怖気づいてしまいました。

周りの視線を気にしながら、フリーウェイトを始めたネイサン。今ではあんなに巨大な体になったネイサンですら昔は怖気づいていたと知ると、私たちと同じ経験をしていると思えて嬉しいですね。

始めの頃は、あのオリンピアの創設者ジョー・ウイダー氏の本を読み、基本的なトレーニングの動作を学びました。

筋トレの基本を身につけ、それと同時に食事にも気を付けた結果、ある日服がきつくなっていることに気が付き、体重を計ると20kg増量していることを知ります。

ここまでかかった期間約1年3ヶ月

1年3ヶ月も自身の増量に気づかなかったのもすごいですが、なにより短期間で成長できるその才能が素晴らしいです。

そんなこんなで筋トレを約3年続けた21歳のある日、友人であり、地元で有名なボディビルダーであるダレン・スミスから大会に誘われます。しかし、ネイサンのボディビルダーへの印象は悪く、「小さなパンツを履いて、日焼けしている変な人たち」というものでした。

 

最初は乗り気ではなかったネイサンですが、2006年NABBAの大会に初出場することを決めました。

いざ大会に出ると、会場の独特の緊張感に飲まれてしまいましたが、初出場で見事に優勝しました。

周りの人たちはその実力を判っていたため、そこまで驚きませんでしたが、当のネイサンは大変驚いたそうで、それと同時に、確固たる自信がつきました。

同じ年にNABBA Universeに出場し、3位に食い込むなど、その才能を国内にとどろかせました。

翌年もNABBAの大規模な大会に出場し、毎回上位入賞を果たし、ネイサンはイギリスで一躍脚光を浴びる存在になりました。

 

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この時から、彼の独特な骨格は健在だったようですね。

何もかも絶好調だったネイサンですが、思わぬ形で挫折を経験することになります。

 

挫折から立ち直りまで

ボディビル人生を順調に滑り出せたネイサンですが、事件は起きます。

2011年ロンドンで29歳の黒人男性が、警察に銃で撃たれ、亡くなる事件が起きました。

銃撃の理由が不当だとして、ロンドンで一部が暴徒化し、それがイギリス全土に広がり始めます。
ネイサンの地元リバプールも例外ではなく、治安が悪化し、若者たちが夜な夜な放火や店の襲撃を始めるようになります。

それに対し、警察やマスメディアが

「暴動を起こしている者の多くは黒人のシングルマザーの子供たちだ」

と報道を始めます。

当時大学生だったネイサンはマスメディアのそういったレッテル貼りに激怒し、855人のフォロワーに対して、Facebookにその思いの丈を綴りました。

その内容の一部が「警察を脅せ」「街を襲おってモノを奪え」など、暴徒たちの犯罪を煽動するようなものでした。

それを見たフォロワーが、その文章をコピーし、警察に送り付けたことでネイサンは告訴されました。

自身の無罪を主張しますが、結局認められませんでした。

本来であれば6週間の禁錮ですが、罪を認めれば禁錮は免れることができました。しかし、ネイサンは頑なに罪を認めず、結局禁錮1年8ヶ月を言い渡されることになりました。

彼は当時の自分を振り返ります。

I’m sorry for what I did. When I look back on it, my words were stupid, they were wrong. I’m not willing to ever do that or be in that place again.

「自分がしたことについて本当に申し訳なく思っている。振り返ってみると、私の言葉は愚かで、間違っていた。もう二度とあんなことはしたくないし、あんな場所にはいたくない。」

服役後、心を入れ替えたネイサンですが、つらい現実は続きます。

逮捕される前は大学生としてスポーツ科学を専攻し、栄養士になることを目標にしていました。

そして逮捕後に栄養学の学士を取得し、いざ栄養士として働こうとしますが、前科が足を引っ張ってしまい、そもそも働くことすら許されませんでした。

自身が招いた結果ですが、全てが上手くいかない現状にひどく落胆し、そのフラストレーションを筋トレにぶつけていました。

 “The fight was tough to turn my life around as no one would employee a guy with a criminal record, so I took my frustration out in gym. I realized that an athlete can have a record and get employed and make a better life for themselves, so my focus was on being the best I can be.”

「前科のある人間を誰も雇ってくれないので、人生を立て直すには厳しい戦いになり、そのフラストレーションをジムにぶつけました。アスリートは前科があっても雇用され、より良い人生を送ることができると気づいたので、私はベストを尽くすことに集中しました。」

ネイサンはひたすら自身の筋肉を大きくし、大会で結果を残すことだけを考えていました。

しかし、残酷にも不幸は続けて起きます。

2013年の大会で優勝し、プロカードを目指し始めたネイサン。

ところが、体調を崩し、胸部手術を受けることになります。さらにその合併症で3回血栓症を引き起こし、死の淵をさまよっていました。

入退院を繰り返したのち、無事に回復しましたが、結局目標にしていた大会に出場することすらできず2013年を終えます。

 

そして、2014年に同大会に出場し、彼はリベンジすることを誓いました。

以前のような症状は起きず、順調に減量を進めていたネイサンですが、次は身内に不幸が起きます。

大会10週前に姪が若くして亡くなります。当時の心境を「腹を銃で撃ちぬかれたような気分だった」と述べており、深い深い悲しみに包まれます。

一度は大会辞退を考えますが、その悲しみをトレーニングにぶつけ、亡き姪のために絶対に優勝すると改めて気持ちを固めました。

そして、姪が亡くなってから3週間後、神様はネイサンにさらなる試練を与えます。

大会に向けて、ポージング練習をしていたネイサンは胸に違和感を覚えます。急いでパートナーに連絡しますが、時間が経過するにつれ、症状が悪化し、パートナーが来てから20分後には病院で数種類の点滴を打たれていました。

医師からは肺炎と診断され、昨年と同様に出場辞退が危うくなってしまいます。

周りからは心配の声が上がっていましたが、彼は絶対に諦めたくありませんでした。

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苦しい経験を何度もし、成功することを誓った幼い頃。そして、服役、姪の死、自身の病気など、普通の人生の何倍もつらい経験をしましたが、言い訳はしたくありませんでした。

7日間の入院で今まで積み重ねてきた筋肉を大きく失いましたが、大会に出ると決め、再びトレーニングを始めます。

当初100kg超級で出場予定でしたが、全盛期の筋肉量を取り戻すことができず、100kg以下級で出場しました。

万全のコンディションとはいきませんでしたが、彼は自分が持っている実力を全身全霊でぶつけました。

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その結果、階級で優勝、さらにオーバーオールで優勝し、悲願のプロカードを獲得します。

当時はスポンサーも付いておらず、またコーチもつけていなかったので、全て自分の力でやり遂げることができたのです。

自ら道を切り開き、IFBBプロとしてのキャリアをスタートさせたネイサンですが、ここから人生が大きく好転することになります。

 

IFBBプロとしての活躍

ネイサン自らの手でつかみ取ったプロカードですが、彼は当初プロ戦は1戦だけしか出ないつもりでした。

というのも、彼はすでにパートナーとの間に2人の子供がおり、家族と過ごす時間を最優先にしたいという思いが強く、競技に没頭するには両立が難しいと考えていました。

“I don’t want my kids to have the hard life I did, and I will do anything I can, make any sacrifice necessary, to make sure they have better lives.”

「子供たちには俺が経験したようなつらい経験をしてほしくないんだ。だから子供たちにより良い人生を送ってもらうためなら自分ができることは何だってするし、必要な犠牲を払うつもりだよ。」

素晴らしい父親ですね。

 

そうして迎えた最初で最後の大会。出場したのは2016年にイギリスで開催されたボディパワープロでした。

彼は持っているすべてを大会で出し切りましたが、結果は惜しくも2位でした。

優勝したのは、マスモンスターとして知られるローリー・ウィンクラーでした。しかし、ネイサンはあのローリーをギリギリまで追い詰め、あと一歩のところでの惜敗でした。

表彰式では、悔しさを隠しきれず、涙を流しました。

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このままでは終われないと思ったネイサンは3週間後に開催予定だったトロントプロへの出場を決めました。

出場リストには過去にオリンピアに出場経験がある選手もおり、レベルが高い大会でしたが、彼は見事にリベンジを果たし、優勝することができました。

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プロ戦で優勝する=オリンピアへの出場権獲得 

ということで、彼はその勢いのままオリンピアへ出場することを決意します。

オリンピアの間にもニューヨークプロカリフォルニアプロなどにも出場し、ボディビルダーとしての経験を積み重ねていました。

「おいおい、最初と言ってること違いすぎんか?」

と思われた方もいらっしゃるかもしれません。彼はオリンピアへ出場を決めた経緯をこう話しています。

“You never know what’s going to happen in life. That might have been your only chance. And if you qualify for the Olympia and skip it, you just took that chance away from some other guy who would have loved to get up on that stage.”

「人生は何が起きるか分からない。もしかしたらそれが人生でたった1回きりのチャンスかもしれない。それに、もし出場権を放棄してしまったら、本当にオリンピアに出たい選手からそのチャンスを奪ってしまうことになる。」

死というものを身近に感じたことがあるネイサンならではの理由ですね。

そして初めて出場したオリンピア。

フィル・ヒースデキスター・ジャクソンセドリック・マクミランなど今まで雑誌やSNSでしか見たことがない憧れの選手たちと肩を並べ、夢のような経験をしました。

結果はトップ10にも入れず、12位という結果で終わります。

しかし、2016年度のオリンピアの出場リストを見ると、初出場で12位という結果はかなり健闘していることが分かります。

こうしてデビューイヤーを素晴らしい結果で終えたネイサンですが、翌年は7位と一気に順位を伸ばし、世界にその名を轟かせました。

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現在も現役選手として活躍するネイサンは2021年のアーノルドクラシック・ヨーロッパで優勝し、2022年のミスターオリンピアへの出場権をすでに獲得しています。

実はオリンピアへの出場は2018年以来4年ぶりとなります。

4年間で弱点をいかに克服し、成長した姿を見るのがとても楽しみですね!

 

終わりに

以上がネイサン・デ・アーシャの簡単な人生の紹介になります。

(正直に言うと、彼の人生はあまりに濃密すぎるため、カットしている部分がかなり大きいです笑)

ロックダウン中にジムの経営をめぐって警察沙汰になったり、現在も二頭筋断裂という怪我の治療中であったりと、彼の人生は事件の連続です。

しかし、どんな状況でも諦めず、自分にできることを常に考え、現実に抗ってきました。

その結果、愛する家族経済力社会的地位など子供の頃に描いたビジョン通りの人生を手に入れることができました。

今までは自分のために戦ってきたネイサンですが、今は家族という大切な存在のために戦っています。

おそらく、ネイサンはこれからも神様から厳しい試練を与えられるでしょう。

ただし、それは全くもって意味がありません。

 

不屈の男ネイサンは絶対に乗り越えます。

 

辛く、悲しい現実にぶち当たっても彼のように抗い、よりよい人生を自らの手で創っていきましょう。

では、今回はこの辺で!

ご覧いただきありがとうございました!

 

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